ソロツーリングは、走っている時間だけで成り立つものではありません。バイクを止めたあとに訪れる静けさや、ひとりで過ごす余白も含めて、ツーリングの体験は形作られていきます。走り以外の時間をどう受け止めるかで、その一日は大きく印象を変えるでしょう。

この記事では、走っていない時間や、ひとりでいる瞬間に目を向けながら、ソロツーリングが自然に馴染んでいく感覚を言葉にしていきます。これまでソロツーリングはつまらないと感じていた方が、少しでもソロツーリングを楽しめるようになれたら幸いです。

走っていない時間がつまらなく感じる理由

ソロツーリングを楽しむ人

ソロツーリングがつまらなく感じる瞬間は、たいていバイクを止めたあとに訪れます。走っているあいだは気持ちが前を向いているのに、降りた途端、何をしたらよいのか手持無沙汰に感じてしまいがちです。何かをしないといけない気がして、落ち着かなくなる場面もあります。

走っていない時間は、予定から外れた瞬間でもあります。次に進む理由も、立ち去る理由も薄くなり、判断に困ってしまうこともあるでしょう。この状態に慣れていないと、楽しさより先に手持ち無沙汰が顔を出します。

ただ、その間は何も欠けているわけではありません。エンジンを切り、ヘルメットを外した直後、耳に入る音や風の温度がはっきりしてきて、走っていたときには意識に乗らなかった感覚が、ゆっくり戻ってきます。

誰かと一緒なら会話で埋まる時間は、ひとりだと空白に見えるかもしれません。しかしその空白は、退屈ではなく、まだ形を持っていない時間とも言えます。腰を下ろしたまま、視線を動かすだけで、周囲の情報が少しずつ自分の中に入り込み、リアルな体験として息づくでしょう。

走っていない時間が楽しく感じられるかどうかは、工夫の量で決まるものではありません。何かを足すより、判断を一つ減らしたときに、居心地が変わります。その感覚に触れたあと、再び走り出すと、ツーリングの印象もまた変わってくるはずです。

止まっている時間もツーリングの一部

気持よくバイクを飛ばしているツーリング中、ふとバイクを止めた瞬間に、ツーリングの流れが切れたように感じることも多いでしょう。走行中に保たれていた集中がほどけ、その時間をどうするか、ということを考えてしまうかもしれません。そうなってくると、周囲の静けさが急に気になってきます。

エンジンを切り、ヘルメットを外すと、身体の奥で速度が落ちていく感覚が湧き出てきます。風の当たり方や音の距離が変わり、視界の奥行きもゆっくり広がると、走行中は通り過ぎていた感覚が、少し遅れて姿を現すでしょう。

ここで何かをしようとすると、再び時間が前へ進んでしまいます。写真を撮る理由や休憩の意味を探すより、その場に立ち、そのまま呼吸をしていてください。自然にその場に溶け込み、ゆったりと時間がうつろう感覚が身体の中に生まれてくるはずです。

止まる行為は、走りの合間で自分の気持ちと感覚を整えてくれます。身体と気分のずれが静かに合っていき、また次に走りだそうという気持ちにさせてくれるでしょう。再びキーに触れる頃には、先ほどとは違う落ち着きが見えてくるはずです。

止まっている時間を感じられると、どれくらいの距離どれくらいのスピードで走ったか、そういった数字のことではなく、その日のツーリング全体が一本につながるような感覚を得られます。止まっていた時間が、走りの外側ではなく内側に置かれているように感じられたら、ソロツーリングを楽しむ第一歩にたどり着けています。

ひとりで過ごす時間が自然になる瞬間

ソロツーリング

ひとりでいる時間が気にならなくなるのは、何かに集中したあとが多いでしょう。走行を終えて身体の熱が引き、周囲の音が戻ってくると、誰かの気配を探す意識が薄れていきます。その静けさが、居心地の悪さより鮮明に自分の心に届くようになります。

視線を向ける先が定まらない時間も、しばらくすると形を持ち始めるものです。遠くの景色ではなく、足元の影や、風に揺れる葉の動きが目に入ってきます。外に向いていた意識が、ゆっくり自分の中に帰ってきている証拠です。

このあたりで、自分が一人でいるこが気にならなくなります。楽しいかどうかの判断を気にせず、ただそこに立っている感覚だけが自分の中にあり、時間が進んでいるのか止まっているのか、その区別も曖昧になります。

周囲と切り離された感じが消えるのは、孤独に慣れたからではありません。自分の動きや呼吸が、場のリズムと噛み合ってくるからです。人の不在が問題にならず、空間の輪郭だけが穏やかに浮かび上がります。

再び走り出す直前、ひとりで過ごしていたことを考えなくなるかもしれません。それは、誰かと共有していなくても、その時間は確かに流れていたと、自分の中にはっきり意識として芽生えたということです。そうした積み重ねが、ひとりでいる状態を特別なものから日常へ近づけていきます。

H2 まとめ

この記事では、ソロツーリングを楽しむための心構えについて紹介しました。ソロツーリングがつまらなく感じる理由は、走りが足りないからではありません。止まっている時間や、ひとりで過ごす瞬間を、どう扱うか分からないまま通り過ぎてしまうからです。

走りの合間に生まれる静かな時間や、誰にも邪魔されない感覚に目を向けると、ツーリング全体の輪郭が少しずつ変わってきます。ひとりでいる時間が自然に溶け込むと、走ることそのものも、より穏やかに楽しめるようになります。